「ボケーとお経」

2004年11月9日
今の時期は一年で一番お参りの忙しい時期である。この時期は普段お参りしていないお宅にも行くからである。
 そこでいろんな人と出会えるのが一つの楽しみでもある。
あるお宅にお参りしたときの事、元気なおばあちゃんがお経が終わった後
「私、何歳に見える?」と出されたお茶を頂いている私に聞く。
こういう事はたまにある事で、しかも坊主である私にとって一つの試練の場でもある。どんなに年をとっても女性は若く見られたいもの。
しかも、自ら「私何歳に見える?」と聞くずうずしいお方は、これはもう「若く見えるやろう?」と聞いているに等しい。
この場合、模範解答は
「おばあちゃん○○歳でしょ」
「あら私は××際ですよ」
「ええ〜!!そうなんですか!? とってもそんなお年には見えませんよ〜〜」
これですべてま〜るくおさまるのである。

 ところがその日は会話の中で、すでにおばあちゃんは大正生まれである事はわかっていたのである。これは厳しい。下手に答えるとアホと思われてしまう実際にアホな人はえらい振りをしたいものなのだ。気持ちが焦るままに思わず。
「80歳」と答えてしまった。

一瞬その場が凍り付いた・・・

「ドンピシャ」
「そう80なのよ・・・」おばあちゃんも、怒っているというより困ってる感じ。

ーこの場をなんとかせねばー
焦る私はよく「町の長寿さんいらっしゃい」的、NHKの司会者風に「それにしても、おばあちゃん元気ですね〜長寿の秘訣は何ですか?」と訪ねる事によってその場を挽回する事にした。

しかし、挽回どころか、それを聞いたおばあちゃんは、瞬間顔色を変えて

「あんた坊主やろボケ〜とお経読んどったらあかん」
 ええか!今でこそお昼の番組でみの●●たが、あれは体にいい、これは悪いから食べたらあかんと言ったりしているし、そうやってみんな健康に気を使っているが。わしらの若い頃は、その日その日の食べ物にも困ってたんや。健康食も何もあったもんじゃない、命をつなげるだけで精一杯の時代だったのよ。
上を見てみなさい、雨漏りしないでしょーその日雨でしたー昔は雨漏りしない家はなかったんですよ。

そんな時代を経て、私の友達や同年代の人は、若い頃病気で死んだり早死にしたりした人がたくさんいる。私はこうやって元気に暮らしている事を、与えられたものとして有り難く頂いているだけで。秘訣なんて一つもない。とおばあちゃんは優しく教えて下さいました。

ただただ拝聴しました。忘れられない貴重な出会いです。

でも、それ以来、「わし何歳だと思う」と年齢を聞かれるのが更に怖くなったのでした。
(*^。^*)LOVE


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